配偶者控除ってご存知ですか?
年収103万円までなら控除が受けれるとかいうアレです。
その配偶者控除を巡って政府の見解が右往左往していますね。
少し前は廃止にする方向で話が進んでいました。
しかし、今度は年収150万まで配偶者控除の対象になる方向で検討しているようです。
あれ?廃止にする予定だった配偶者控除なのに対象者を増やすの?
うーん、よく分かりませんね。
まずは現行の制度を確認してみましょう。
きちんと理解していなければ制度が変わった時に損をすることになるかもしれません。
今回は現行制度の再確認と新制度で税金はどれくらい安くなるのかまとめてみました。
かなりの長文になっているので新制度を知りたい人は目次より移動してください。
※2016年11月現在、新制度が確定している訳ではないのである程度、予測で書いています。ご了承ください。
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目次
配偶者控除(所得税編)
配偶者控除とは主に配偶者がいる人に税金面で配慮してあげようとはじめられたもの。
よく聞くのが「配偶者が年収103万円以上稼ぐと税負担が増えていまう」と言うものですね。
基礎控除と給与所得控除を合算した額が103万円なのです。
給与所得控除とは収入に応じて決められる控除で年収180万以下は年収×40%(65万に満たないものは一律65万円)です。
表1
給与所得控除 | |
年収 | 控除額 |
180万円以下 | 年収×40%(65万円に満たない場合には65万円) |
180万円超360万円以下 | 年収×30%+18万円 |
360万円超660万円以下 | 年収×20%+54万円 |
660万円超1000万円以下 | 年収×10%+120万円 |
1000万円超1500万円以下 | 年収収入金額×5%+170万円 |
1500万円超え | 一律245万円 |
給与所得控除を年収から引いた額が38万円以上だと配偶者控除の対象から外れます。
しかし、38万円を超えても段階的に控除を受ける事が出来ます。
これを配偶者特別控除と言い控除額は減ってしまいますが最大で年収140万9999円までなら特別控除を受ける事が出来ます。
表2
所得 | 控除額 |
38万円~40万円未満 | 38万円 |
40万円~45万円未満 | 36万円 |
45万円~50万円未満 | 31万円 |
50万円~55万円未満 | 26万円 |
55万円~60万円未満 | 21万円 |
60万円~65万円未満 | 16万円 |
65万円~70万円未満 | 11万円 |
70万円~75万円未満 | 6万円 |
75万円~76万円未満 | 3万円 |
76万円以上 | 0円 |
ちょっとわかり辛いので例を出しておきます。
例(1)
年収100万円の人 100万円-65万円(給与所得控除)=35万円 所得が35万円になるので配偶者控除の38万円が受けれます。 |
例(2)
年収110万円の人 110万円-65万円=45万円 配偶者控除が受けれる38万円を超えてしまったので表2を参考にして特別控除額は31万円と言う事になります。 |
とにかく年収を103万円以内に抑える事が出来ると38万円の配偶者控除が受けれると言う事です。
配偶者控除(住民税・地方税編)
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次は地方税になります。
地方税の配偶者控除は最大で33万円になり所得によって変動します。
所得税の場合は最大38万円に対し、住民税の場合は最大33万円になります。
控除額は以下の表を参考にしてください。
配偶所の所得 | 控除額 |
380,001円~449,999円 | 33万円 |
450,000円~499,999円 | 31万円 |
500,000円~549,999円 | 26万円 |
550,000円~599,999円 | 21万円 |
600,000円~649,999円 | 16万円 |
650,000円~699,999円 | 11万円 |
700,000円~749,999円 | 6万円 |
750,000円~759,999円 | 3万円 |
表の控除額は扶養者の所得に対して控除される額です。
所得税を計算する際の基礎控除は38万円でしたが住民税の基礎控除は33万円になります。
ここも混同してしまう人が多いので注意が必要です。
※表の「配偶者の所得」と言うのは収入から給与所得控除や経費を引いた額です。
厚生年金と国民年金
少し脱線しますが年金のシステムも理解していた方が税金計算に役立ちますね。
会社務めの人は厚生年金と健康保険。
自営業の方などは国民年金と国民健康保険。
所得からどれくらい引かれるのか把握しておいた方が計算は楽だと思います。
厚生年金
厚生年金は月給の額に応じて等級分けされます。
詳しく書くと定時改定と言うものがあり4,5,6月の月給の平均値で等級が決められています。
随時改定と言うものもあるのですがややこしくなるので省きます。
割り振られた等級には税率の掛かる金額が決められており、その金額から18,182%(平成28年11月現在の料率)を折半した額が厚生年金として引かれます。
等級 | 月額 | 報酬月額 | 折半額 |
4 | 88,000 | 83,000~93,000 | 8,000 |
5 | 98,000 | 93,000~101,000 | 8,909 |
6 | 104,000 | 101,000~107,000 | 9,454 |
7 | 110,000 | 107,000~114,000 | 10,000 |
8 | 118,000 | 114,000~122,000 | 10,727 |
9 | 126,000 | 122,000~130,000 | 11,454 |
10 | 134,000 | 130,000~138,000 | 12,181 |
11 | 142,000 | 138,000~146,000 | 12,909 |
12 | 150,000 | 146,000~155,000 | 13,636 |
13 | 160,000 | 155,000~165,000 | 14,545 |
国民年金
国民年金は毎年、国が決めていて一律です。
28年度だと16,260円になっていますね。
※健康保険と国民健康保険は地域によってかなり差があるので計算から省きます。
○○万円の壁
基本的な事は理解していただいたと思います。
現行の計算頬だと所得の壁が出来てしまう事はご存知でしょうか?
年収が103万円以上になってしまうからシフトを減らしている人を見かけたことはないですか?
理由は103万円以上稼ぐと無駄に税金を取られてしまうからです。
この壁は段階的にあるのでまとめてみます。
年収98万円の壁
あまり知られていませんが年収98万円の壁が存在します。
ややこしいのですが住民税(地方税)を計算する際の基礎控除が所得税と違うのです。
因みに住民税の場合は基礎控除が33万円。
住民税も0円にしたい場合は年収を98万円に抑える必要があります。
年収103万円の壁
基礎控除と給与所得控除の合算が103万円なので年収103万円を超えた分については課税されます。
しかし、上記は所得税を計算する場合です。
住民税を計算する場合の基礎控除は33万円なので年収103万円だと
103万円-65万円-33万円=5万円
となりこの5万円に住民税が掛かってきます。
住民税は約10%なので5千円。
そして住民税を払う場合、均等割と言うものが存在します。
均等割と言うのは住民税を払っている人全てが対象になり地域によって異なりますが約5千円ほどです。
つまり年収を103万円に抑えても約1万円の住民税が掛かってしまう事になりますね。
年収106万円の壁
28年度から新設された制度で106万円を超えれば社会保険を支払わなければいけません。
しかし、これには条件があってその条件の中に「501人以上の会社に勤めている場合」とあります。
この条件に当てはまる人は極々少数なのでそれほど問題はありません。
106万の壁はあってないようなものだと思ってください。
年収130万円の壁
多くの人はこの壁を意識しているのではないでしょうか?
年収が130万円を超えると社会保険の扶養から外れ、自身で保険料を負担する必要があります。
※週30時間以上働く方が厚生年金保険・健康保険(社会保険)の加入の対象です。
年収141万円の壁
年収で141万円稼ぐと給与所得控除額を引いても76万円に達してしまいます。
76万円以上になると配偶者当別控除を受ける事が出来なくなってしまうのでここが最後の壁になりますね。
新制度とは?
ここから本番になってきますが新制度とはどういったものなのでしょうか?
2016年11月現在では制度が決まっていません。
分かっているのは年収150万円以下まで配偶者控除と同額の減税枠を適用する案を検討している事です。
配偶者特別控除と書かずに配偶者控除と書いているので特別控除事態を廃止する考えなのかな?
現行の制度では配偶者控除は年収103万円、配偶者特別控除は年収141万円以内となっています。
特別控除を受けれる額を9万円上げたくらいではそこまで意味がないと思うので、やはり配偶者控除を年収150万円に引き上げる方向で検討していると思われます。
忘れてはならないのは制度が変わって年収150万円で配偶者控除を受ける事が出来ても、住民税は98万円以上、所得税は103万円以上から掛かってくる事には変わりません。
新制度でも130万円の壁は厚い
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新制度になって稼ぎを増やしますか?
今のまま継続しますか?
多分ですが新制度になって収入を増やそうと考える人は少ないと思われます。
それほど年収130万の壁は厚いのです。
年収が130万円を超えると年金、保険を支払わなければなりません。
年収130万円付近だと6等級あたりに振り分けられ、社会保険まで払うと年間約18万円の支払いが生じます。
141万円の壁を意識する人が少ないのがこのためです。
やはり、新制度になっても130万の壁を超える事は難しいと思われますね。
新制度でどれくらい税金は安くなる?
年収129万円で新旧比較
配偶者控除 | 所得税(5%) | 住民税(10%) | |
旧制度 | 16万円 | 8,000円 | 16,000円 |
新制度 | 38万円 | 19,000円 | 38,000円 |
年収140万円で新旧比較
配偶者控除 | 所得税(5%) | 住民税(10%) | |
旧制度 | 3万円 | 1,500円 | 3,000円 |
新制度 | 38万円 | 19,000円 | 38,000円 |
※扶養者の課税対象所得額を195万円未満と仮定しています。(下表参照)
※均等割など細かい計算は入れていません。
年収129万円の人で年間約27,000円、140万円の人で52,500円税金が安くなりますね。
これはかなり嬉しいですね。
課税対象所得額 | 税率 | 控除額 |
195万円未満 | 5% | 0円 |
195万円~330万円未満 | 10% | 97,500円 |
330万円~695万円未満 | 20% | 427,500円 |
695万円~900万円未満 | 23% | 636,000円 |
900万円~1800万円未満 | 33% | 1,536,000円 |
1800万円~4000万円未満 | 40% | 2,796,000円 |
4000万円~ | 45% | 4,796,000円 |
まとめ
今回の新制度は年収の壁にあたっている人を対象にしていると思われます。
しかし、保険と年金をどうにかしてもらわないと壁を破って収入を増やそうとは思いませんよね。
税金が安くなるのは歓迎ですが中途半端な制度にするくらいなら廃止法案の方がマシだったような・・・
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