小説「予定日はジミー・ペイジ」は、作者の角田光代さんが、朝日新聞に載せた掌編小説がきっかけで執筆されたそうです。
その掌編小説というのが、予定日になっても赤ん坊が生まれないという話で、その小説を読んだ出版社の白水社から体験記を書かないかと連絡があったそうです。
朝日新聞に載ったのは、随筆でなく、小説であるため、角田光代さん自身は出産しているわけではなかったそうなのですが、では体験記ではなく、出産にいたるまでの小説を書いてみませんかということなったそうです。
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タイトルの意味は?
タイトルの「予定日はジミー・ペイジ」は、生まれてくる赤ん坊の出産予定日が誕生日の有名人であるジミー・ペイジに由来しています。
恥ずかしながら、音楽に疎いので、ジミー・ペイジさんを存じ上げなかったので、参考までに引用します。
イギリスのロックギタリスト、作曲家、プロデューサー。身長180cm。
ハードロック、ヘヴィメタルの代表格であり、ビジネス的にも大成功したレッド・ツェッペリンのギタリスト兼リーダー、プロデューサーだった。
その他にもその予定日の有名人としてボーヴォワール(作家・哲学者)、宗兄弟(マラソン選手)、ジョーン・バエズ(シンガーソングライター)などが挙げられます。
物語の主人公であるマキは、妊娠当初あまり妊娠を喜んでいないのですが、そんな彼女が最初に買った妊娠関連(?)の本が「誕生日の本」で、彼女はおなかの子の予定日を調べ、なんだかおなかにいるのがジミーペイジであるような気がして嬉しくなるのです。
妊娠への不安が日記形式で描かれている
妊娠して、出産までの日々を日記のように描いてあるのですが、主人公マキのつわりが変わっていて、なぜか物のにおいを嗅いで、嗅いだ後に舐めてみたくなるというものでした。
一般的によく聞くのは、食べつわり(食べたら気持ち悪さがなくなる)、嘔吐感を伴うつわり、などですね。
マキもいろいろ調べてこれは、つわりなのかと悩んだりもします。
また、現実感を伴う夢を見るようになって、不安になり、妊娠本を読み漁ったりもしています。
安定期に入ると母親学級に参加したり、妊婦の経験する様々なことが描かれています。
やがてマキの赤ちゃんに対する姿勢も少しずつ変わっていく様子がわかります。
体験談ではないので、リアリティがないという厳しい声もあるようですが、マタニティブルーという言葉があるとおり、自分に制御できないようなわけのわからないいらいらや不安があるんだなということはわかるのではないでしょうか。
経産婦さんなら、こんなじゃなかったとか、マキはもう少し食べ物に気をつけるべきだとかつっこみながら、読むのも面白いかもしれません。
産婦人科医師のリンドウ先生のキャラクターの魅力
この小説でなかなかキャラクターが立っている人物それは、リンドウ先生です。
リンドウ先生は、かなり年配の先生のようですが、時々女言葉になっていたり、少しとぼけた感じがたまりません。
こんな先生がいたら、楽しいかもしれません。
実は、ジミー・ペイジや村上春樹の誕生日がずれている
予定日とジミー・ペイジの誕生日が一緒のはずなのですが、実はおかしなことが起こっています。
マキが出産の兆候がきて、病院に向かう日は、1月9日です。
話の中で、当初の予定日は1月7日になっているのです。
予定日から遅れて、父親の誕生日と同じ日に生まれてしまうと書いてあるのですが、ジミー・ペイジさんの誕生日は、1月9日です。
更に言えば、村上春樹さんの誕生日は1月12日です。
1月8日の日記で、あさってに生まれたら、村上春樹だと言っているのです。
気がついたときは、結構な衝撃でした。
タイトル変更の危機ですね。
まとめ
以上、角田光代さんの「予定日はジミー・ペイジ」の紹介でした。
タイトルの矛盾は解消されることはないですが、読みやすい作品だと思います。
共感できるかどうか(?)というところでしょうか。
気に方は是非一度手にとってみてください。
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